お寺からのメッセージ

2024

1睦月

January

「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きん」

今年の将棋界では藤井聡太名人が将棋タイトルを独占され前人未到の八冠を達成されました。全称号を保持された棋士は升田幸三実力制第四代名人と大山康晴十五世名人、羽生善治九段に続く四人目の大偉業です。藤井名人は十七歳の頃、将棋の神様に願い事をするなら何でしょうかという質問に対し、一局手合わせを願いたいと答えられました。とても十代の回答とは思えない、今ある未来を予見させる素晴らしい受け答えです。

さて、みなさんは願い事が叶うとするならばどのようなことを思い浮かべるでしょうか。お大師様は幼少の頃、仏門を広め多くの人々を救わんと願い、その固い意志を誓うため断崖絶壁から身を投じたところ、釈迦如来が舞い降り命を救われました(捨身誓願)。

またご入定の前には「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きん」とお説きになられました。これは世の中のすべてに仏様のような心が芽生え、苦しむことがなくなったとき、お大師様の願いは終わるのだという事です。

私の願いもまた、みなさんの願い事が無くなることです。

 

神奈川 安樂寺 矢澤玲道