お寺からのメッセージ

2021

1睦月

January

「飲酒(塩酒)一杯許是」

三十年以上前高野山で、高僧の酒の椀を叩く仕草に、慌てて燗酒の入った湯桶を持っていくと、「これは要らんと云うことじゃ。」と一喝されてしまいました。

お釈迦様は、アルコールが脳にダメージを与えるため、弟子たちに飲酒を禁止させました。お大師様も、仏道修行者にとって、お酒が有害であると戒めておられます。

けれど、少量のお酒が薬になることも認めておられたようです。そのため病気の者が、飲み薬や塗り薬として、それとわからないように持ち込むことを黙認されていたようです。

お正月には皆さんお屠蘇をあがることと思います。お屠蘇は中国で生まれ、日本では嵯峨天皇の頃に宮中行事として始められたそうです。もしかしたら、お大師様がお伝えになったのかもと思ってしまいます。一杯のお酒に、一年間の邪気払いと長寿を願って、心穏やかに頂きたいものです。

くれぐれも、「蒼生太狂酔自心不能覚」(多くの人は甚だ酔っ払って、自分自身がわからなくなる。)となりませんように。

 

栃木 観音寺 遠藤隆芳