2021 年
4月 卯月
April
「菩薩の用心は、みな慈悲をもって本とし、利他をもって先とす」
菩薩の心遣いは、全て慈悲を本とし、他の者の幸せを優先するという意味です。
政治家にせよ、経営者にせよ、一般人にせよ、菩薩行を実践するためにこの世に生を受けているはずです。
自分だけでなく、皆が幸せになってこそ、真に幸福な社会が現出するはずです。
ところが、コロナ禍の現状を見回してみますと「自利」の優先の風潮が満ちています。
政治家は、市民の苦しみに寄り添うことなく、中小企業や個人事業者はコロナにより倒産、その余波による自殺者の増加、企業の非正規雇用率四〇%以上、終身雇用の放棄、短期的利益追求の帰結により、解雇されたホームレスが路頭に彷徨っています。まるで、乱世のようです。
仁徳天皇は民の窮乏に心を痛め、3年間、課税、労役を免除し、民を困窮から救いました。為政者の鏡です。また、宮沢賢治の詩「雨ニモ負ケズ」は利他の精神の象徴です。
コロナ禍の今、私たちは「ソウイウモノニワタシハナリタイ」精神を持つべきです。
高野山高校 校長 小野芳幸