お寺からのメッセージ

2026

1睦月

January

春種不下 秘実何獲 『秘蔵宝鑰』

春に種を蒔かなければ秋の収穫は得られません。日本のことわざにも「蒔かぬ種は生えぬ」というものがありますが、種を蒔かなければどんな結果も得ることはできませんし、また収穫を得たいと望むなら計画的に種を蒔く必要があるのです。例えば宝くじ一つをとってもそうであり、「ああ、宝くじ当たらないかな」と思っても、実際に当選するためにはなによりもまず買ってみることが肝心です。買わない宝くじは、決して外れることはありませんが当たることもありません。

 仏教ではこの世のありとあらゆるものは「因」(原因)・「果」(結果)・「縁」(間接的条件)の三つの要素によって成り立っていると説きます。たとえ種を蒔くという「因」の行いをしたとしても、もしかしたら天候不順や異常気象などによる「縁」があって、その人が望むような「果」を得られないことがあるかもしれません。しかしながら、いい結果を残してきた者が、影に日向に必ず努力していることもまた事実です。

 撒いても生えてこない種かもしれない。時に努力は報われないかもしれない。それでも、命が続く限り、私たち種を放棄することなく蒔き続け、秋に得られる実りをひたすら信じ、努力を続けて生きたいものです。

  西群馬 延養寺 佐藤 康照