2018 年
5月 皐月
May
「色空本ヨリ不二ナリ」
近年、檀徒様との世間話の話題の中に、「便利な世の中になったねぇ」そんな言葉が良く出てまいります。確かにPC(パソコン)やケイタイ・スマホはいまや年配の方から小学生までもが所持していますし、特に最近ではAI(人工知能)や自動車の自動運転機能など我々の生活の中で便利なものが増えてまいりました。便利なもの、言い換えれば我々の貪欲であり、一つのものでは満たされずその先その上へと進んでいってしまいます。
何年か後には、私が生まれる前、五十年以上前に描かれた、マンガ家手塚治虫さんが描いたアニメの世界が現実となる日が来るのでしょうか?お大師様の時代には考えられないことだとは思いますが、「そんな便利なものがなくても人は生きてゆけるのだ」とお大師様はおっしゃるでしょう。
確かに今日まで私達は、四苦八苦・喜怒哀楽を繰り返し、子から孫、孫からひ孫へといのちを受け継いでまいりました。私達の生きている、と言うよりも生かされているまさにこの地球自体が一つのいのちであります。時には怒ったり、くしゃみをすることもあるでしょう。それにより多くの尊き命を奪われることもあります。私達は、この星(自然)とともに寄り添って、いのちを育んでいきたいものです。
長野 香住寺 備前秀俊