2021 年
2月 如月
February
「節分」
2月の年中行事といえば多くの方が節分を思い浮かべるのではないでしょうか。節分は本来、春夏秋冬の始まりの日の前日のことを指しますが、現在では立春の前日を節分と呼んでいます。季節の変わり目には邪気が生じるため、それを追い払うために行われていた宮中行事が庶民に拡がり、柊鰯(ひいらぎいわし)を戸口に立て、豆撒きをするようになりました。世間ではこの豆撒きばかりに注目が集まりますが、高野山大塔ではこの節分に星供が執行されます。星供では北斗七星をはじめとする星々を供養し、その年の星を祀り、檀信徒の皆様の除災招福を祈ります。
古来より人々は宇宙や天体により様々な影響を受けていることを知っていました。星の運行を調べる中でそれらは占星術や天文学となり、五穀豊穣や天変地異、吉凶の占いに用いられ、現在の暦へと変遷します。これらの基礎となる「宿曜経」は宗祖弘法大師により日本に請来されたものです。
このような世情だからこそ、迷いの中を進む道をお大師様に託し、至心に祈ることが私たちに求められているのではないでしょうか。
群馬 慈眼院・地福寺 吉井良肇