お寺からのメッセージ

2022

1睦月

January

「お大師様の願い」

願い事とは様々である。五才の娘はプリンセスのグッズが欲しいと答えた。いかにも子供らしい答えであります。因みに近所のおばちゃんは坐骨神経痛を和らげたい。その息子さんは新車が欲しい等々。

数年前、勧学会の翌日問講にて如意宝珠とはあらゆる願いを叶えてくれる珠ではあるが、竜が所持している為、手に入れることができないという議論があった。結末は如意宝珠を手に入れることにより自ら菩提心(欲を捨て、生きとし生けるもの全ての幸福を願い実現に向けて精進すること)をおこし、如実知自心(あるがままの自分の心を知る事)が最も大事であると締めくくられた。

かつて、お大師様は高野山万燈万華会を修せられた際の願文で「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きなむ」と御誓願されました。つまり、この世が尽きない限り、また全ての衆生に幸せが訪れるまで私の願いは終わらないと念じられたのです。お大師様は生涯菩薩行を実践され、そのスケールの大きな願いとともに私たちは常に見守られているのです。

 

埼玉県 能護寺 鈴木秀典