お寺からのメッセージ

2018

12師走

December

衆生自らこれを秘すのみ」

私は貴方が嫌いだった。身勝手な正義を振りかざすから。どこか私に似てるから。だから私は自分も嫌いだったのかもしれない。

今はどうだろうか。とにかく私は、貴方や自分を避けて生きていけない。よって貴方に告白する。

最近私は奇妙な夢を見た。

私は己の中に自身よりはるかに大きい怪物を寄生させていた。私はこの怪物の存在に怯え、隠蔽しようと地面に穴を掘り始めた。

汗だくになって地中深く掘った。横幅も削り拡げていくと、土壁の向こうから、かすかに音が聞こえた。誰かが反対側からも掘っているらしい。さらに削り続けると土壁に隙間ができた。懐中電灯を向けた先に現れたのは貴方。あなたも怪物を持て余していた。

それから私達は共同で穴を縦横にひたすら掘った。作業中、いろんな感情が湧いては消えた。苛立ち・憎しみ・徒労感・後悔。そして気づけば、私達は祈っていた。

巨大な穴ができた頃、上空には永遠のような太陽が昇り、その光が私たちの全身を照らした。

怪物など最初から存在しないことを感知した。代わりに胸中に微小の何かがあった。その不思議。人生と生命の大いなる肯定。

この宝物をなんと呼ぶのだろうか。