お寺からのメッセージ

2025

11霜月

November

過を恕して新ならしむる、之を寛大と謂い、罪を宥めて臓を納る、之を含弘と称す

 

この文は、弘仁五年(八一四年)に「元興寺の僧中璟(ちゅうけい)が戒律を破った罪を(ゆる)されんことを請う表」の一文です。

(あやま)ちを(ゆる)して更生させるのが寛大、罪を(なだ)めて(赦して)すべてを包み込むのが(がん)(こう)という意味合いです。

人間誰しも過ちをおかします。相手が失敗した時に怒ったり、罵声を浴びせたりしてしまうことがあるかもしれません。しかし、ただ怒っていても相手の為にはなりません。感情に流されず相手を赦し、再び間違わないように心新たに更生させる、これを寛大といいます。

怒った後は心が虚しく寂しい気持ちになり、また相手も悲しい気持ちになります。一呼吸して、相手の事情や状況を考え「ゆるす」選択をする事で心が穏やかになり、相手との関係も良好になります。そして自分自身も楽になり、心豊かになります。

思いやりの慈悲の心を持って生活していきたいものです。

福島 遍照院 髙野弘隆