2018 年
3月 弥生
March
「真言は不思議なり、観誦すれば 無明を除く。一字に千を里含み、 即身に法如を証す」
一心に真言をお唱えすると、心 が落ち着き、穏やかな気持ちになります。真言の持つ音の響きが脳波に良い影響を与える、という科 学的な研究結果もあるそうです。
お大師様の時代に比べ、私達の 暮らす現代は医学や科学、物理学といった学問が大いに発展しまし た。私達の心や身体、大自然や大宇宙の不思議さえも次々に解明されつつあります。それらのことは私達の暮らしをより豊かに、より便利に変えていきます。
しかしその一方、不思議なことが無くなりつつある世の中は少しばかり寂しくはありませんか。遥か昔、私達のご先祖様は森羅万象の不思議に畏怖の念を持ち、そこに神仏のお蔭様を見出しだのではないでしょうか。不思議なことをあるがままに捉え、謙虚に生きる。そのようにして、自らの中に慈悲の心、思いやりを育んできたのではないでしょうか。
今なお、目まぐるしい進化、発展を遂げる現代ですが、少しばかり歩みを止めて、一心に真言をお唱 えしてみませんか。その不思議は私達の心をもっと豊かにしてくれるかもしれません。
埼玉 安養院 磯部拓幢