2022 年
10月 神無月
October
「林泉、我を酔わしめて、ひとたび入って帰ることを忘れる」
「自然は私を陶酔させ、ひとたび山に入れば都会の生活を忘れることができる」
お大師様の壮年期は多忙であり、山に駆け出したいほど、自然に惹かれていたことが伺えます。幼少期から、壮年期まで、四国山系を始め、吉野山系を駆け巡り、高野山創建という小願を成就なされました。さらに、お大師様と山との関りは深く、全国各地には行脚が伝承されるほどです。
かく言う自分も時間を見つけては、登山として近隣の山に足を運んでいます。一度山に入れば、町中の喧騒から離れ、風で揺れる手つかずの草木の音、清浄な水のせせらぎ、草木鳥獣虫魚の活力、四季昼夜問わず移り変わる風景、力強く何もかもがありのままの山は、万物の根源『六大』の集合体であると感じます。お大師様も若き日に学問及び、今後の進退に行き詰まり、山に飛び込み『虚空蔵求聞持法』の苦行を経て、偉業を成就されました。皆様も、物事に思い悩んだら、山にて普段と異なる体験をしてみてはいかがでしょうか。
光明寺 佐光慈応