お寺からのメッセージ

2020

3弥生

March

立春が過ぎると春の訪れを我先に競うようにつぼみを膨らませていきます。今年は幾分か暖かい日が続き早々に椿の花が顔を出していました。早咲きするもの、遅咲きするもの、草木にも個性のようなものがあると感じます。

お大師様の親交ある方への文(ふみ)の中に「夏月の涼風、冬天の淵風(えんぷう)、一種の気なれども嗔喜同じからず。」という言葉があります。

夏の涼風と冬の寒風は同じ風に変わりがないが一方は人に喜ばれ、一方は嫌われるという意味となり、と仏の教えを聴聞する人々、内容を理解すれば、聴衆の心に届き喜ばれます。しかし教えの内容が難解と感じたりすると、心に寒風が吹き込み理解されません。仏の貴い教えで妙薬であるはずなのですが、人によっては毒にもなりかねないと、教えを説く難しさを語っています。

そこでお大師様は「教えは方経の如く」とし、仏の教えは医者の診断した処方箋(方経)であり、患者の病状によって投薬を指示する処方箋のように、教えを説いています。それは人々に慈しみの心を持って接するお大師様の姿であります。

 

東京 金剛院副住職 山田一能