お寺からのメッセージ

2024

2如月

February

「重重帝網なるを即身と名づく」

これは、お大師さまのとても有名な言葉です。人間だけに限られない多様な存在がつながり合い、相互に照らしあって共存する世界観を示しています。

ある経営者の方が、分断が進む今の世界においてこの言葉が大変重要であると同時に、実践するのが難しいと話していました。ウクライナでは戦争が続いていますし、自分の会社では派閥争いに明け暮れてる人が居ます。無い方がいいとわかっていても、世界は争いだらけです。この方は、問題解決のカギが「想像力」にあるのではないか、と考えています。

自分の主張が絶対に正しいと考え、他社の発言を背景を想像しないときに争いが生じます。仏教は「無我」を説きます。それは自分の意見への執着を離れることです。私たちは、そうすることで、他者についての想像力を働かせることができるのではないでしょうか。

わかり合うのが困難な他者について想像することを粘りずよく進めていくことが、重重帝網の世界を開いていくのだと思います。

 

東京 高福院 川島俊之