お寺からのメッセージ

2024

6水無月

June

「蓮(はちす)を観じて自浄を知り、菓(このみ)を見て心徳を覚る」

「般若心経秘鍵」の一節でお大師様が蓮の生き方と人の人生を照らし合わせ、誰もが本来は美しい清らかな心を持ち、心には徳が備わっていると申されています。

蓮は泥水の厳しい環境の中で育ちますが、けして泥に染まることなく、泥水から栄養を蓄え本来の清浄な姿で咲き誇ります。また蕾のうちから実を持っていることから誰もが仏性を持っていることにたとえられます。

花(華)は厳しい環境に耐え、花を咲かせることから六種供養の忍辱の徳とされ花を見る人の心を安らげ、怒りを鎮める力があります。

現在、新型コロナウイルス感染症、自然災害等こうした状況下にいると人の心は不安定になり、煩悩の根本である三毒(貪り、怒り、愚かさ)が湧いてきて、濁ってしまい心のあり方が見えなくなる時があります。

環境や欲の中で自身の心のあり方に迷い、苦しい時には、心を乱さず蓮を観じ、想い、厳しい環境に耐え、泥水(我欲)に染まることなく、清らかに生きることができると、自らの心を見つめることが大切です。

 

神奈川 東樹院 井上正真