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メッセージ
実の如く自心を知る2015年12月「ありのままに自分の心を知る」という意味です。お大師様の言葉から連想されるのが「自分探し」という言葉です。老若男女を問わず、現代人は、よく口にします。それと関連するのか、最近の若者は折角就職しても3割方が早々と止めてしまいます。
四国遍路も昔は「病気平癒」とか「懺悔」が主な目的でしたが、新たに、「自分探し」が加わりました。自分探しの旅を通して本当の自分に巡り会い、自己実現が可能になるとでも言うのでしょうか。現実から隔絶したところにある自分とは幻ではないでしょうか。
今、目先の様々な問題で苦しみ、悩んでいる自分が本当の自分です。正に「迷う我が身も仏なりけり」です。私たちは社会の中で多くのご縁を頂き、多くの人々と関わって生きています。御縁を大切にし、目の前の現実を見据え、迷いながら、やるべきことに没頭する。その姿が本当の自分であるはずです。
与えられた環境の中で与えられた仕事に精進する。それによって本当に大事なものが見えて来るはずです。その結果、つまらない見栄や嫉妬や欲望から解放され、穏やかな日々を過ごせるようになると確信します。
山梨 薬王寺 小野芳幸